きる、どちらにとってもメリットが大きいことから、このシステムは、間違いなく定着することになりそうである。今後M社は、センターの会員を充実させて、会員の希望するツアーを催行したり、自治体ヘボランティア活動を支援したり、自治体相互をネットワークして町おこし・村おこしの成果が上がるようなイベント作りに協力する等、一つの社会的なビジネスを成功に導くことが確実である。M杜の新しい発想とサービスシステム、そして果敢に挑戦した姿勢に拍手を送りながら、ますますの発展を楽しみにしているところである。(M社は、このシステムを知的所有権として登録した。)
小規模旅行業者は、プロとして蓄積した知識と経験を活かして、旅行者に対する「より優れた旅行サービス」の提供に努力して、顧客の信頼と評価を得ることに熱心でなければならない。小回りやキメの細かさで旅行者にホスピタリテイを売り、時代の変化や旅行者のニーズを敏感に感じ取り、これに機敏に対応できるのは、小規模旅行業者の最大の長所である。運送手段と宿泊施設に付加価値をプラスするだけでは大手業者に対抗できない事実を認識して、小規模旅行業者は持ち前の自由でフレキシブルな適応力を活かして、旅行の関連分野を取り込む形でニュービジネスの創造に取り組むべきである。
旅行業は世界的にも最も有望な成長産業であり、活発な成長が続く限り、いくらでも新しい旅行関連のビジネス分野が派生してくることは間違いない。高齢者社会が間違いなく到来すること、企業より個人主体の価値観の変化が見られること等を念頭に、旅行業者が、今までになかった分野や、まだ開発されていない新しい旅行システム、インターネットやCD−ROMを活用した新しい旅行システム等、著作権や知的所有権が認められる可能性のある分野は限りない。フランチャイズ方式による「旅行コンビニエンスストア」の展開も考えられるし、異業種との連携による新しいビジネスの創出も可能であろう。権利が保護されれば、これをベンチャービジネスとして発展させることができる可能性が生まれ、また、賛同者からの資金的な支援=エンジェルの出現も考えられる。旅行業界をまったく新しい形に変革できるのは、組織に縛られず自由な発想ができる小規模旅行業者である。
小規模旅行業者の向かうべき究極の方向性は、旅行コンサルタント業である。医者や弁護士のように、旅行代金に見合う旅行サービスの提供が受けられるよう適切にアドバイスする、個人や家族の「お抱え旅行コンサルタント」の需要はもちろん、ビジネスとトラベルとを合体させ、企業の売上向上や人材養成に関する企業の指導や、地域の観光開発や街づくり計画に関する地方自治体の指導に関するコンサルタント、独自に開発された企画やサービスシステムの登録やこれの販売指導、旅行ファションの企画販売指導、旅行業界の職業紹介、教育・研修・人材養成セミナーの開催、顧客満足やリスクマネジメントの研究指導等を専門分野とする方向性である。いずれにせよ、旅行業は知的産業であるとの認識のもとに、今までの旅行業とは一歩も二歩も進んだ方向性を、若者や小規模旅行業者が中心になって積極的に作り出すべきである。
最近実施された、大手旅行会社55社の「経営トップが予測する近未来」の結果から、いくつかを紹介すると興味深い。
?旅行者からコンサルテイング料を収受するのは当分難しいか。 YES 72%
?コンビニでの旅行販売は消費者の支持を得て拡大するか。 YES 67%
?中小業者の生き残りのため協力関係の構築が必要か。 YES 83%
?ホームエージェントは近い将来日本でも定着するか。 YES 36%
?2001年までにインターネットでの旅行予約は実現するか。 YES 85%
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